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書類作成センター

相続前に不動産を手放す難しさ

友人から、相談を受けました。

老齢になった親から不動産を相続する前に、その不動産を手放したいというものです。


しかしながら、これまでの経験から、一口に手放すと言っても簡単ではないケースも目立ちます。


手放すためにしておかなければならない、いくつかの処理について書き記し、手放すためにも難しさがあることを、ご紹介します。


(1)所有者の名義と住所


贈与や売却の際は、契約者は所有者本人であることが大前提となります。


このため、登記上の所有者の名義と住所は、最新の状態と一致していなければいけません。


具体的には、印鑑登録証明書に記載されている氏名と住所、これが登記簿の所有者と一致していなければ、手放すために、所有権移転登記や住所変更登記を行う必要があります。


たとえば、相続したものの未登記であれば、相続手続きから始めなければなりません。


これには、所有者として登記されている者の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、

印鑑登録証明書、遺産分割協議書が必要になります。


このようなケースの場合、登記されている所有者の住所地が、市町村合併などにより現在は使われているケースもあり、かなり手間や時間がかかります。


単純に考えると、相続手続きと相続登記を専門家に依頼すれば、20万円以上の費用がかかることになります。


(2)筆界の特定


不動産、特に土地を手放すためには、隣地との筆界が特定されていないと、後々のトラブルの原因になります。


筆界が特定されていなければ、測量して隣地との境界を定めておく必要があります。

このため、測量費用がかかることが予想されます。


(3)接道


通常、後の利用を考えて贈与や売買が行われるでしょう。


しかしながら、古民家などでは、その土地が道路が面しておらず、田んぼのあぜ道を利用して接道している状況も見られます。


この場合は、地域によって基準が異なりますが、接道基準を満たす必要があります。

工事用車両の通行もできない場合は、取得者が利用に窮することになり、登記上も問題が生じる恐れがあります。


このようなケースでは、道路までの土地買収、あるいは通行権の設定などが必要になると予想されます。


(4)農地


農地を手放すためには、農業委員会の許可を得なければなりません。


農地のまま、あるいは地目を変更して権利を移動、または新設(借地権など)する場合は、その手続きが必要です。


必要な手続きがケースごとに異なるため、一概には言えませんが、かなりの労力と期間を要することが予想されます。










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