特別養子縁組、普通養子縁組、里親制度、婿養子といった言葉を聞くことがあります。特に相続に関して、それぞれの違いはどのようなものになるのでしょうか。
1. だれの法定相続人になるか
(1)普通養子縁組
普通養子縁組では、養子となった子どもは、実親とは親子の関係を残したまま養親と親子関係を作ります。基本的に、この関係は、養親と養子に迎える子どもの親権者との契約によって成立します。
この結果、二重の親子関係が存在することになり、養子は実親と養親双方の法定相続人となります。戸籍上は、養子または養女と記載されます。
(2)特別養子縁組
これに対して、特別養子縁組では、養子となった子は実子と同じ扱いになります。戸籍上も長男または長女などと記載され、実親との親子関係は消滅します。したがって、養子となった子は、養親の法定相続人となりますが、実親の法定相続人とはなりません。
この縁組では、子どもの年齢が6歳未満であることが前提で、裁判所の審判を受けることで成立します。普通養子縁組とは異なり、養親との離縁は原則として認められません。
(3)里親制度
また、児童相談所から委託を受けて子ども養育する里親制度がありますが、この制度は、養子縁組ではないため親子関係に変わりはなく、戸籍上も変更がありません。したがって、養育された子は、里親の法定相続人とはなりません。
(4)婿養子
婿養子は、昭和22年の民法改正前まで存在していた戸籍制度の名残です。婚姻の際、夫が妻の姓を選択し、それと同時に妻の両親と普通養子縁組することを指し、戸籍上「婿養子」と記載されました。なお、民法改正後は単に「養子」と記載されています。
婿養子となった夫は、実親と養親双方の法定相続人となります。通常、親がなくなった場合の相続人は、親の配偶者と子となるため、子の配偶者は相続人とはなりません。しかしながら、婿養子の場合は、妻の親、つまり養親が亡くなった場合も相続人となります。
2.相続分に違いがあるか
実子と養子で相続分に違いはありません。また、実親の相続に関しても、同じ割合です。養子縁組をしても相続権には影響がありません。
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