相続が発生したら、戸籍で相続人を確定
相続では、亡くなった人(被相続人)と相続人の続柄を確認する手段として、戸籍が証拠となります。相続が発生した場合、被相続人の財産や遺産は相続人が引き継ぐこととなり、相続人かどうかは、戸籍を使って確定します。
遺言がない場合、原則として、相続人全員の同意がなければ、被相続人の財産に手を付けることはできません。通常、被相続人の死亡によって始まる相続発生後、相続人全員で遺産分割協議を行って、遺産分割協議書を作成し、遺産相続を行います。
ちなみに、遺産分割協議はまとまっていないものの、まずは預金を引き出せるようにしておきたい場合、相続人の代表が口座を開設して、預金残高を代表口座に移管させます。この場合も、相続人全員の同意が必要です。
なお、遺言がある場合でも、相続人がだれかを確定させる手続きは、最低限行う必要があります。
戸籍の確認によって、新事実が判明する場合もある
一般的に、戸籍を確認した結果、存在を知らなかった相続人の出現や入籍されておらず相続人に該当しないことが判明するケースなどが、実際に起こり得るケースとして挙げられます。
例えば、被相続人と同居していた親族が、相続人は自分たちだけと思い込んでいたものの、先妻に子どもがいるケースや正妻以外のこどもを認知しているケースがあります。
また、被相続人の親族が、自分は相続人だと思っていたものの、被相続人の再婚相手である母親の連れ子であった自分については、養子縁組がされず入籍されていないケースなどもあり得ることです。
被相続人の戸籍は、出生から死亡までを揃える
被相続人の死亡時点での戸籍は、最終的な本籍地の市町村役場で取ることができます。しかしながら、死亡時点の戸籍だけで相続手続きを行うことはできません。
大きな原因の一つとして、現行の戸籍に記載される者は、「一の夫婦及びこれと氏を同じくする子」に限定されていることが挙げられます。
子どもが結婚した場合、子ども、または配偶者を筆頭者とする新たな戸籍が作られます。また、本籍地を他の市町村から移転した場合、新たな戸籍が編成(転籍)されます。
さらには、被相続人自体には何の変更はなくとも、法律改正などにより、新しい戸籍が編成(改製)されることもあります。例えば、平成6年には、戸籍のコンピュータ化を進めるための法改正が行われるなど、複数回の法改正が行われています。
新しく編成された戸籍には、過去の事項が記載されないことがある
婚姻によって新しく戸籍が編成される場合、「一の夫婦及びこれと氏を同じくする子」以外の、父母や兄弟姉妹については記載されません。
また、転籍や改製が行われた場合、婚姻や養子縁組、死亡などによって除籍された者については、転籍後や改製後の戸籍には記載されません。
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