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「相続登記の義務化や土地の放棄」2020年に向けた検討

更新日:2020年3月4日

1.検討の背景


土地の所有者が死亡しても相続登記がされないことなどが原因で、不動産登記簿で所有者が確認できないケースや、判明しても連絡がつかない土地の存在が、社会問題化しています。


政府は、2020年までにこの問題を解決するために必要な制度の改正を目指しています。

このため、法務省の法制審議会民法・不動産登記法部会において、2019年3月から検討が進められています。

主な問題点や検討課題は次のように設定されています。


2.所有者不明土地の問題点


(1)問題点


売買などによる所有権移転登記については、不明土地の原因に占める割合が1%のみで、相続登記や住所変更登記の未実施が原因


① 所有者探しが大きな負担

所有者不明土地の利用や取得、所有者に対し権利を主張するためには,土地の所有者を探索しなければならないが、探索の負担が大きい。

土地の所有者が死亡した相続登記には、

・所有者の相続人確定のため、所有者の出生から死亡までの経過の記載が分かる戸籍謄本

・相続人が既に死亡している場合、被相続人に加え、相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

などが必要

② 所有者不明土地は、利用や管理面で支障

共有者の一部が不明な場合、土地を利用することについて不明な共有者の同意を得ることができず利用が制限される。ライフラインの敷設等のために支障が発生。


③ 所有者不明土地の管理コストが高い

不在者の財産の管理制度等の財産管理制度を利用して財産管理人を選任する方法があるが、既存の財産管理制度については管理コストが高く利用が困難。


3、検討されている主な内容

(1) 相続等による所有者不明土地の発生を予防するための仕組み


① 不動産登記情報の更新を図る方策

ア 相続登記の申請の義務化

イ 登記所による不動産登記情報の更新を図る方策

ウ 土地所有権の放棄


② 所有者不明土地の発生を抑制する方策

   ア 土地所有権の放棄

    所有権の放棄を認め、公的な機関等に帰属。

  イ 遺産分割の促進

遺産分割に期間制限を設けるなど遺産分割を促進


(2) 所有者不明土地を円滑かつ適正に利用するための仕組み


① 共有制度の見直し

ア 共有物の管理や共有物の変更・処分の規律の明確化

イ 共有者の同意取得方法に関する規律の整備

ウ 共有物の管理をする者に関する規律の整備

エ 共有状態の解消を促進する制度


② 財産管理制度の見直し

管理コストの高い財産管理制度の見直し

ア 特定の財産だけを管理する制度

イ 共通の財産管理人の選任

複数の不在者がいても一人の財産管理人が共通に選任きる制度の整備

     ウ その他

       現行制度では、相続財産管理人の選任の公告、相続債権者等に対する請求申

出を求める公告、相続人捜索の公告の3回の公告に、最低10か月間かかる

期間を短縮など合理化


③ 相隣関係規定の見直し

ア 隣地の所有者等に損害が生じている場合

隣地の所有者等が管理不全状態の除去を請求できることを明確化

イ 越境した枝の切除

隣地の竹木の根が越境した場合、切除に関する権利行使方法の見直し

ウ 隣地使用請求権

      隣地所有者の承諾や判決によらない隣地使用請求権の範囲の明確化と行使方法

      の見直し

    エ ライフラインの導管等設置権

     各種ライフラインの導管等を設置するために他人の土地を使用できる制度の整備

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